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綱わたりの花嫁 [赤川次郎]

まずはAmazonさんの紹介ページから。

誘拐された花嫁は別人!?
本物はどこへ?

結婚式に覆面をした三人組が飛び込み、花嫁を誘拐した。
しかし、さらわれたのはアルバイトで花嫁のふりをしていた久美子だった。
久美子の母親や友人の塚川亜由美は、本当の新婦・美亜の父親で
大富豪の坂戸に身代金の立て替えを頼むが、聞く耳を持たない。
その横暴な態度が、思わぬ波乱を巻き起こすことに!
長編ユーモアミステリー、人気シリーズ第30弾。



花嫁シリーズでは、久しぶりの長編です。
(というか前回の長編は何でしたっけ?手元に無く確認できず)

誘拐された花嫁が、実はアルバイトでという所から始まる誘拐ミステリ。
普通に考えればその時点でタイムリミットサスペンスになるのですが、
そこがそうならないのが、赤川作品。
なんと誘拐された花嫁が誘拐団に加わるという奇想天外な事態に。

さらに、本物の花嫁・坂戸美亜は、八田圭治と駈け落ちするのですが、
その周囲でもなにやら不穏な空気が・・・

花嫁の誘拐という事件から、殺人事件やさらにその他の事件まで
次々と起こり、長編らしさを感じます。

最後は相変わらず、かなり強引な大団円的な結末なのがちょっとなあ・・・と思いましたが、
亜由美の両親が普段と何ら変わらないのはさすが。

本作はシリーズ第30作目という記念作品なんですね(それもあり長編?)。
シリーズ一覧を見ると、『紙細工の花嫁』とか『半人前の花嫁』などを思い出します。

亜由美のボーイフレンドである谷山先生の影が最近かなり薄いので、
次作ではぜひその活躍をみたいです。


綱わたりの花嫁 (実業之日本社文庫)

綱わたりの花嫁 (実業之日本社文庫)

  • 作者: 赤川 次郎
  • 出版社/メーカー: 実業之日本社
  • 発売日: 2019/06/06
  • メディア: 文庫



綱わたりの花嫁 (実業之日本社文庫)

綱わたりの花嫁 (実業之日本社文庫)

  • 出版社/メーカー: 実業之日本社
  • 発売日: 2019/06/06
  • メディア: Kindle版



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いまさら翼といわれても [米澤穂信]

まずはAmazonさんの紹介ページから。

謎解きを通し〈古典部〉メンバーの新たな一面に出会う、シリーズ第6弾。

「ちーちゃんの行きそうなところ、知らない?」夏休み初日、折木奉太郎にかかってきた
〈古典部〉部員・伊原摩耶花からの電話。合唱祭の本番を前に、
ソロパートを任されている千反田えるが姿を消したと言う。
千反田は今、どんな思いでどこにいるのか――会場に駆けつけた奉太郎は推理を開始する。
千反田の知られざる苦悩が垣間見える表題作ほか、〈古典部〉メンバーの過去と未来が垣間見える、
瑞々しくもビターな全6篇。

久しぶりの<古典部>シリーズ。
短編集ですが、本シリーズとしての転換点が描かれる作品群ではないでしょうか。

奉太郎の省エネ主義がいつからなのか。「やらなくてもいいことなら、やらない。
やらなければいけないことなら手短に」というのはいつから始まったのかが
明かされる『長い休日』
この主義。<古典部>入部してからの奉太郎に果たして当てはまるのかなあ(笑

伊原摩耶花の漫画研究会退部と、その過程、(さらには進路?)を窺わせる
『わたしたちの伝説の一冊』
そして摩耶花の奉太郎への微妙な感情が描かれた『鏡には映らない』

最もミステリ色が濃いのは『箱のなかの欠落』ですが、
これは犯人の目的も意図も不明すぎるのが難点でしょうか。
そこは奉太郎らには確かに関係ないのですが(票が増えた理由を明かすのが目的)
それにしても、不可解すぎるなあと感じました。

表題作『いまさら翼といわれても』は千反田えるの<家>に関わる問題。
本作があるからこそ、次作以降の<古典部>がどうなるのか楽しみです。
千反田家の事情なども次作以降で明かされるのでしょうか。


いまさら翼といわれても (角川文庫)

いまさら翼といわれても (角川文庫)

  • 作者: 米澤 穂信
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2019/06/14
  • メディア: 文庫



いまさら翼といわれても 「古典部」シリーズ (角川文庫)

いまさら翼といわれても 「古典部」シリーズ (角川文庫)

  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2019/06/14
  • メディア: Kindle版



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狩人の悪夢 [有栖川有栖]

まずはAmazonさんの紹介ページから。

「俺が撃つのは、人間だけだ」
臨床犯罪学者・火村英生と、相棒のミステリ作家、アリスが、
悪夢のような事件の謎を解き明かす!

人気ホラー小説家・白布施に誘われ、ミステリ作家の有栖川有栖は、
京都・亀岡にある彼の家、「夢守荘」を訪問することに。
そこには、「眠ると必ず悪夢を見る部屋」があるという。
しかしアリスがその部屋に泊まった翌日、
白布施のアシスタントが住んでいた「獏ハウス」と呼ばれる家で、
右手首のない女性の死体が発見されて……。

以下ややネタバレです。







作家アリス&臨床犯罪学者・火村英生シリーズ文庫版最新作。
これまで国名シリーズも含めて、このシリーズ全て読んでいますが、
本作はシリーズ最高傑作ではないかと、個人的に感じました。

本シリーズの核は、ど派手なトリックや、どんでん返し、意外な犯人等々・・・
いまよく帯やポップで見る宣伝文句ではありません。
本当に綿密に組まれたロジック。そして火村英生の詰め将棋のような推理。
派手さはありません。しかし、推理小説として極めて完成度が高い。

本作では、被害者の右手首と左手首が切断されるという、極めて奇妙な謎が
提示されますが、火村に言わせれば、それも「散らかっているだけ」
そしてもうひとつ、火村の言をあげれば、
「動機については無視して考えました。これは私のいつものやり方です。」
と、解説の宮部みゆきさんも引かれている一言。

そう、あくまで火村は誰がこの事件を起こすことができたのか、
それを絞り込んでいくフィールドワークを丹念に行っていくのです。

今回も先ほど挙げた切られた手首や、最初の被害者沖田頼子が探していたものとは何か。
亡くなった渡瀬信也を巡る人間関係等々・・・いくつもの興味深い謎が提示されますが、
物語の核心はそれらではない(もちろん核心にせまるピースではあります)。

上記は僕が火村が犯人を名指しした推理の過程を読んで思ったことなのですが、
この過程はかなり驚きました。
犯人の絞り込み、実に極めてシンプルなのです。それは読者へも提示されていたのですね。
それだけに驚きが増しました。

しかるにそれだけでなく、犯人を追い詰める役が火村からアリスへ変わった所も驚き。
これまでのシリーズでは無かったのでは?(あったらすいません。)
これは犯人との関係性もあったのかもしれませんが、久しぶりに事件に二人で
取り組むというのも理由の一つだったのかも。

そしてこの推理を犯人に突きつけた時、物的証拠は一つも無いという事実もまた驚き。
状況証拠と推理で火村は犯人を追い詰めるつもりだったのです。
火村にとっては当然なのかもしれません。なぜならあらゆる状況を考えて、
この人物しか犯人たり得ないと結論付けていたから。

事件発生までがおよそ100ページ。解決編が始まるのが384ページから。
およそ300ページ弱、火村のフィールドワークが続き、
その結果、推理はおおよそ50ページ程。
一体この流れから、どんな事件が起こるのか。
そしてこんな容疑者が少なく、五里霧中のような事件を火村はどう解くのか。
それを考えれば一気読み確実のミステリです。



狩人の悪夢 (角川文庫)

狩人の悪夢 (角川文庫)

  • 作者: 有栖川 有栖
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2019/06/14
  • メディア: 文庫



狩人の悪夢 「火村英生」シリーズ (角川文庫)

狩人の悪夢 「火村英生」シリーズ (角川文庫)

  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2019/06/14
  • メディア: Kindle版



狩人の悪夢 「火村英生」シリーズ (角川文庫)

狩人の悪夢 「火村英生」シリーズ (角川文庫)

  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2019/06/14
  • メディア: Kindle版



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闇が呼んでいる [赤川次郎]

まずはAmazonさんの紹介ページから。

それは、
君たちの噓のせい。
復讐の幕があがる!

女子大生の田渕美香は友人の轟淳子、黒沼さとみ、池内小百合と六本木の店で
マリファナを喫っていた。ところが、薬で眠らされてしまう。気がつくと乱暴された跡が!

美香は外務大臣の娘。麻薬パーティにいたなんて知られるわけにはいかない!
同級生の西川勇吉を乱暴した犯人に仕立て上げ逮捕させることに成功する被害者づらの彼女たち。
西川は追い詰められ自殺してしまう。

数年後「逃れることはできない」と奇妙なメッセージが彼女たちのもとに届く。
差出人は罪を着せられた西川だった!
復讐の幕があがる。


単なるクラスメートにえん罪をきせ、自分たちの幸せは守ろうという、
そして田淵美香の父親は現職の大臣。財力もある。
金と権力で不祥事を揉み消す、絶好の立場です。

ただし、父親は娘の言い分しか知らないため、美香ほどの罪はないでしょうが・・・

この4人組は仲良し四人組というだけではない点は、大学生時代の頃から、
特に池内小百合から語られますが、
この小百合が一番このえん罪事件で大きく変わってしまったのではないでしょうか。

特に黒沼さとみは意図していないにはしても、彼女を頼ったおかげで、
人生の絶頂とどん底を味わっています。

美香の家も最後家庭崩壊するのですが、しかし、これはえん罪事件による
ものだけではありません。
夫である清水真也が浮気したことは、この事件を聞かされたから、だけでしょうか?

西川自身も死んでしまい、両親も亡くなった今、彼女たちに復讐しているのは
誰なのかが、最後までわかりません。
しかし、この犯人の行動も、復讐という面だけでなく、贖罪という面も大きいような
気がします。

ところで、ものすごく蛇足でかつ物語に一切関係ないのですが・・・
4人組の一人である轟淳子と、同じ同級生の馬場百合香が母校で講師をしているという
のは、かなり恵まれているよなあ。また20代の若さで大学講師とは・・・(笑
後にいずれも非常勤講師ということが判明しますが、それでもすごい。
今の時代は考えられませんね。


闇が呼んでいる (徳間文庫)

闇が呼んでいる (徳間文庫)

  • 作者: 赤川次郎
  • 出版社/メーカー: 徳間書店
  • 発売日: 2019/05/14
  • メディア: 文庫



闇が呼んでいる (幻冬舎文庫)

闇が呼んでいる (幻冬舎文庫)

  • 出版社/メーカー: 幻冬舎
  • 発売日: 2003/09/30
  • メディア: Kindle版



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裁く眼 [我孫子武丸]

まずはAmazonさんの紹介ページから。

法廷画家が描いたその絵は危険すぎる――。
美人被告人は残忍な殺人鬼か、それとも聖女なのか?

漫画家になりそこね、路上で似顔絵を描いて生計をたてていた袴田鉄雄。
ある日、テレビ局からの急な依頼を受け、連続殺人事件裁判の「法廷画」を描くことに。

注文通り仕上げた絵が無事に放送に使われた直後、何者かに襲われて怪我を負う。
鉄雄の絵には一体なにが描かれていたのだろうか?

容疑者の美人被告人は残忍な殺人鬼なのか、それとも聖女なのか?
頭の回転の速い姪っ子、警察官、テレビ局、それぞれの思惑と発言が絡み合い、裁判の展開は意外な方向へ。予測不能、驚愕の法廷サスペンス。

以下ややネタバレ。




法廷ミステリといえば、検事・弁護士・裁判官いずれかが主人公の場合が
多いですが、本書は法廷画家が主人公という、おそらくミステリ史上、初めて
ではないでしょうか。

主人公の袴田鉄雄は、今風な感じだけど、夢を追い続けたけども、
屈折してしまったという、すこし拗ねた感もある人物。
そしてどこかボーッとしており、逆な意味で危なっかしい人物。

それと対照的なのが、相棒役を務める中学生の姪の蘭花。
若さからくる行動で、叔父が襲われた事件の捜査を買って出ます。

本書で扱われる事件は、結婚詐欺事件、そして殺人事件。
被告は希代の悪女と報道されている佐藤美里亜。
物語の中で本事件について検事・弁護士、そして証人、被告人尋問を通じて
その内容が明かされていきますが、それはあくまで物語核心の背景音なのかもしれません。

あくまで法廷画家の視点で描かれるため、事件の詳細な内容よりも、
法廷そのものに焦点を合わせているからです。
ここは本書最大の面白さでもあるし、十分シリーズ化できるのではと思うのですが、
一方で、本書ラストまで読むと、この点がデメリットな部分もある気がします。

なぜ鉄雄の描いた法廷画が原因で鉄雄が襲われ、そして同じ法廷で画家をしていた
聖護院桜まで殺害されてしまったのか。
本書はこの謎がメインであり、あくまで佐藤美里亜の事件は法廷画を描く場面でしか無いのです。

むろんそれは頭では分かっていながらも、本書ラストでは被告へ判決が下されますが、
事件は謎のまま。こちらの事件にも決着をつけて欲しかったというのが個人的感想。
ただし、続編が本事件の控訴審というならば話は変わりますが。

鉄雄の描く法廷画のもつ真の意味は最後に明らかになるのですが、
これは本書タイトルの「裁く眼」とシンクロしているの言うまでもありません。
で、また矛盾することを書くのですが、
この真相だと、本作のシリーズ化は難しいのだろうなという(苦笑
なぜなら鉄雄の法廷画を視れば、ある程度事件の真相にたどり着けてしまうから。

しかしまあ、人形シリーズのように、腹話術師が本来人形を喋らせているのに、
人形が独自に喋っている(かのような)シリーズを出した我孫子先生なら、
鉄雄の「眼」と「行動」を分けて、探偵役に蘭花を添えればいけそうな気もします。


裁く眼 (文春文庫)

裁く眼 (文春文庫)

  • 作者: 我孫子 武丸
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2019/06/06
  • メディア: 文庫



裁く眼 (文春文庫)

裁く眼 (文春文庫)

  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2019/06/06
  • メディア: Kindle版



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毒薬の輪舞 [泡坂妻夫]

まずはAmazonさんの紹介ページから。

鳴らないはずの病院の鐘楼の音が聞こえたとき事件が起きた―夢遊病者、自称億万長者、狂信者、
誰も見たことがない特別室の入院患者など、怪しい人物が集う精神科病院で続発する毒物混入事件。
そして遂に犠牲者が…犯人は、使用された毒物は?
病棟に潜入した海方と小湊は事件を解決できるか?海方シリーズ第2弾!

前作とは打って変わって、ある種、閉ざされた孤島での事件のようです。
というより、そもそも事件が起こっているのかどうかすら、
読み進めていっても、ほとんどわからない状態に陥ります。

これは別に悪い意味ではなく、良い意味でなのです。
解説の有栖川先生は、迷路にでも迷い込んだと本書を評しますが、
まさに正鵠を得ています。

入院患者たちのそれぞれの行動、精神病院に隠された謎。
これらは全て、物語の枝葉のようにみえ、実のところ物語の核心なのです。

本当に終盤になり、ある事故(事件?)が起き、
それを含め、舞台となった精神病院でのあらゆる謎が、
一気に収斂され、明かされていく様は、見事というほかありません。
有栖川先生が言う、論理仕掛けの奇談、言い得て妙です。

第1作目とは、作風そのものが全く違いますが、それでも
シリーズものとして読めてしまう、海方と小湊コンビも相変わらずです。
こんな作品があったとは・・・傑作です。


ところで前作と同様、カバーが遠藤憲一さんになっているのですが、
これは海方警部補がドラマ化したら、遠藤憲一さんが適任という
意味なのでしょうか。それは謎として残りました。


毒薬の輪舞 (河出文庫)

毒薬の輪舞 (河出文庫)

  • 作者: 泡坂妻夫
  • 出版社/メーカー: 河出書房新社
  • 発売日: 2019/04/05
  • メディア: 文庫



毒薬の輪舞 (講談社文庫)

毒薬の輪舞 (講談社文庫)

  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 1993/09/15
  • メディア: Kindle版



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自殺予定日 [秋吉理香子]

まずはAmazonさんの紹介ページから。

「継母が父を殺した」再婚してわずか二年。父の死後、遺産とビジネスを継ぎ活躍する継母の姿に、
女子高生の瑠璃はそう確信した。彼女は自らの死で罪を告発するため山奥で首を吊ろうと決意するが、
訪れた自殺の名所で“幽霊"の裕章と出会った。彼は継母の罪の証拠を見つけようと提案する。
期限以内に見つからなければその時死ねばいいと。今日から六日後――
それが瑠璃の自殺予定日となった。すべての予想を裏切る、一気読み必至の傑作ミステリ!

秋吉さんの著作は初めてです。
読了後、解説を読むと『暗黒女子』でイヤミス作家として有名になったようです。
さて本書もどんでん返しがあるようですが、どんな結末なのか・・・

以下、ややネタバレ。



一言で言い表せば、イヤミスではなく、一人の女子高生の成長物語です。
はじめは自殺するために訪れた自殺の名所で、一人?の幽霊と出会います。
瑠璃は、幽霊として現れた裕章との約束で、父親が殺されたという証拠を
6日の間に見つけられなければ、自殺をする、つまりその日が自殺予定日と定めたのです。

裏表紙には「すべての予想を裏切る」とありますが、
最近こうした煽り文が多いのですが、
本書で言えば、父親への疑惑の真相より、最後に彼女が取った行動が
良い意味で予想を裏切ってくれて、ほっこりしました。

彼女が父親の死を乗り切るだけで無く、思春期特有の悩みや
学校の悩み、そして自殺などもう考えず、前を向いて歩いて行く姿は本当に
読んでよかった。

ところでもう一つのドンデン返し?である幽霊はよく気付かれなかったなと
思いました(笑)。さすがにこれは無理があったような・・・


自殺予定日 (創元推理文庫)

自殺予定日 (創元推理文庫)

  • 作者: 秋吉 理香子
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2019/05/31
  • メディア: 文庫



自殺予定日 (創元推理文庫)

自殺予定日 (創元推理文庫)

  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2019/05/31
  • メディア: Kindle版



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許されようとは思いません [芦沢央]

まずはAmazonさんの紹介ページから。

「これでおまえも一人前だな」入社三年目の夏、常に最下位だった営業成績を大きく上げた修哉。
上司にも褒められ、誇らしい気持ちに。だが売上伝票を見返して全身が強張る。
本来の注文の11倍もの誤受注をしていた―。躍進中の子役とその祖母、
凄惨な運命を作品に刻む画家、姉の逮捕に混乱する主婦、祖母の納骨のため寒村を訪れた青年。
人の心に潜む闇を巧緻なミステリーに昇華させた5編。

またまた久しぶりの更新です。このところ堕落した日々で、精進しなければなりません。
以下、ややネタバレ。




芦沢さんの著書は『今だけのあの子』以来2冊目。
どの物語もラストの一捻りが実にうまく、傑作短編集です。

「目撃者はいなかった」は誤発注をごまかすため、修哉が取った行動は
成功したかに見えたのですが、交通事故の目撃者となってしまい・・・
死亡した運転手の妻が修哉に対して取った行動が、
夫と同じ目二合わせることという、これ以上ない報復。
言えば自分のミスが明らかに、言わなければ放火犯に・・・どちらを選んでも
彼にとっては地獄です。
明らかになっていく

「姉のように」は、本書所収作では一番のどんでん返し作品ではないでしょうか。
最初に虐待による事件記事を載せ、最後にまた別の事件記事を載せているのですが、
物語は、実にうまくこの点がミスリードされています。
もう少し深読みすると、自分の子どもが犯罪者の姪、になってしまうこと、
さらに彼女は姉へ育児の相談などをしていたこと、この2つも
彼女が事件を犯してしまった理由にもなっているのかとも。

「絵の中の男」はある画家の一生を語る物語。
彼女が描いた絵に隠された秘密が明かされていきます。
本作のみ一人称で語られている異色作ですが、
絵が描かれていく過程、あまりに強烈でした。

表題作は最後の最後に少し救いのある物語になっています。
個人的には主人公の恋人による名推理?が印象に残りました。



許されようとは思いません (新潮文庫)

許されようとは思いません (新潮文庫)

  • 作者: 芦沢 央
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2019/05/29
  • メディア: 文庫



許されようとは思いません

許されようとは思いません

  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2016/06/22
  • メディア: Kindle版



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世界推理短編傑作集5 [ミステリ]

まずはAmazonさんの紹介ページから。

珠玉の推理短編を年代順に集成し、一九六〇年の初版以来版を重ね現在に至る『世界短編傑作集』
を全面リニューアル! 最終巻となる本巻にはアリンガム「ボーダーライン事件」をはじめ、
ベントリー「好打」、コリアー「クリスマスに帰る」、アイリッシュ「爪」、
パトリック「ある殺人者の肖像」、ヘクト「十五人の殺人者たち」、ブラウン「危険な連中」、
スタウト「証拠のかわりに」など珠玉の名作を収録!


以下、ややネタバレあり。


本書がついに最終刊。
アリンガムの名探偵アルバート・キャンピオンシリーズは初読。
何年か前に短編集が刊行され、あれが結構気になっていました。
本作『ボーダーライン事件』は読んで字の如く、トリックもまさにボーダーラインという
中々に面白いです。
似たようなのが「踊る大捜査線」でもあった気がしますが、あれはものすごく意図的ですが(笑
短編集、欲しくなりました。

ベントリーの『好打』は、大胆なトリックを用いた先例とでも言うのでしょうか。
物語上ですでに振られていますが、僕も単に落雷と思ってました(笑

『爪』はおおよその予想がつくものの、このラストの余韻含め、
後世のミステリに与えた影響は大きいのではないでしょうか。
完全な解決ではないものの、真実を読者にそれとなく告げていて、それでいて
物語の登場人物は真実に行き着いたか不明であるという、簡単そうで
難しい表現だと思います。

『十五人の殺人者たち』は謎に包まれている、とある会合での出来事。
現在はこんなことすら行われず、隠蔽に走るというのはなんとも情けない話です・・・。

『危険な連中』は本書では個人的に一番オススメ。
ミステリというよりサスペンスなのですが、登場人物の、ある意味ムダな(笑)心理戦が
素晴らしい。そしてラストの締め方も皮肉が効いていて、実に面白いです。

「妖魔の森の家」はカーター・ディクスンによるHM卿の事件簿ですが、
恥ずかしながら、こちらも初読。ディスクンそのものを初読なのですね。
この事件は、かつて起きた少女の消失トリックの謎を解き明かすのが卿の役目
なのですが、現実におきた少女の「消失」をも解き明かすところはさすが。
しかし、この明かされた真相はタイトルに相応しい内容だと思います。

完結は寂しいものの、改めて現在の作家さんたちによる傑作短編集の
刊行を願いたいですね。



世界推理短編傑作集5【新版】 (創元推理文庫)

世界推理短編傑作集5【新版】 (創元推理文庫)

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2019/04/24
  • メディア: 文庫



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アリス殺し [小林泰三]

まずはAmazonさんの紹介ページから。

大学院生・栗栖川亜理は、最近不思議の国に迷い込んだアリスの夢ばかり見ている。
ある日ハンプティ・ダンプティが墜落死する夢を見た後大学に行ってみると、
玉子という綽名の男が屋上から転げ落ちていた。次に見た夢の中でグリフォンが生牡蠣で窒息死すると、現実でも牡蠣を食べた教授が急死。そして不思議の国では、三月兎と頭のおかしい帽子屋が
犯人捜しに乗り出していたが、なんとアリスが最重要容疑者に……。
悪夢的メルヘンが彩る驚愕の本格ミステリ!

久しぶりの更新です。
待ちに待っていた「アリス殺し」がようやく文庫化しました。
以下、ややネタバレあり。

元々がホラー大賞受賞作家さんだけあって、中々きわどい描写も多いのですが、
不思議の国と地球とで、事件が連動して起こるという設定を全面に活かした傑作
だと思います。

この設定を最大に活かしているのが犯人とそして最後の謎解き。
前者の犯人当てはまだわかるかもしれませんが、最後の謎解きはかなり驚きました。
不思議の国を舞台にした設定が最大限活きてきます。

そして、なぜ事件性が低い事故なのに、中丸警部と西中島刑事がわざわざ捜査に
来ているのかというのも、この設定が大きい。
惜しむらくは、なぜ亜理と井森は彼らを誤認してしまったのかです。

そしてそして、不思議の国での存在がアーヴァタールであるという
<蜥蜴のビル>こと井森の説こそ、実は最大のミスリードなんですね。
本作内の真犯人も、そして次作以降でもなぜか井森がワトソン役として登場するという、
奇妙な状況が生み出されるのです。

探偵役が共通ではなく、ワトソン役(とその世界観)が共通という、中々
お目にかかれないシリーズの記念すべき第1作。
不思議の国における、頭のおかしな帽子屋と三月兎の、これでもかという話の通らない
会話も合わせて(笑)必読です。


アリス殺し (創元推理文庫)

アリス殺し (創元推理文庫)

  • 作者: 小林 泰三
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2019/04/24
  • メディア: 文庫



アリス殺し アリス殺しシリーズ (創元推理文庫)

アリス殺し アリス殺しシリーズ (創元推理文庫)

  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2019/04/26
  • メディア: Kindle版



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しあわせの書-迷探偵ヨギガンジーの心霊術 [泡坂妻夫]

まずはAmazonさんの紹介ページから。

二代目教祖の継承問題で揺れる巨大な宗教団体“惟霊講会”。
超能力を見込まれて信者の失踪事件を追うヨギガンジーは、
布教のための小冊子「しあわせの書」に出会った。
41字詰15行組みの何の変哲もない文庫サイズのその本には、
実はある者の怪しげな企みが隠されていたのだ―。
マジシャンでもある著者が、この文庫本で試みた驚くべき企てを、
どうか未読の方には明かさないでください。

このところ泡坂作品の復刊、そして文庫化は素晴らしいものがありますね。
『泡坂妻夫引退公演』に続き、『曾我佳城全集』も創元推理文庫で
再文庫化されるとの情報もあり、うれしい限り。

そこで前回に続き、ヨギガンジーシリーズを一気読み。
本作は『ヨギガンジーの妖術』で弟子となった不動丸、そして途中から突然合流した
美保子の3名で旅を続けていて、『妖術』を読んでいた方がより楽しめるかも。

『しあわせの書』なる本は何が、しあわせ、なのか。
なぜ死亡したとされる人々が「惟霊講会」に居るのか。

様々な謎が断食中のガンジーの推理から一気に語られる
中盤から終盤にかけての盛り上がりは圧巻。
迷探偵とありますが、いやいや御謙遜を、名探偵ですよ。

ただし、確かにマヌケな面もあるのは否定しません(笑
しかし、しあわせの書の意味が個人的にはツボでしたね、なるほどと(笑



ところで本書にはもうひとつ、筆者ならではのある驚異の「仕掛け」が施されて
いるのですが、それを書くのはナンセンスでしょう。
この「仕掛け」はぜひ皆さんお読み頂いて、筆者の凄さを味わってください。




しあわせの書―迷探偵ヨギガンジーの心霊術 (新潮文庫)

しあわせの書―迷探偵ヨギガンジーの心霊術 (新潮文庫)

  • 作者: 泡坂 妻夫
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1987/07/31
  • メディア: 文庫



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三毛猫ホームズの証言台 [赤川次郎]

まずはAmazonさんの紹介ページから。

因縁めいたつながりのある人々が集った“高原ホテル”。法廷で決定的な証言をし
無罪をもたらした女性と結婚した千葉。大企業の社長令嬢の婿となった記憶喪失の男、辻川。
彼の出現により未来を失った安西…。奇しくもホテルに同行した片山刑事たちは、
複雑な人間閑係が巻き起こす事件に対峙する。そして、ホームズの可愛らしい後輩も登場!
国民的大人気シリーズ第51弾!

はや51作目ですか。いや本当に長寿シリーズです。
本作は「高原ホテル」が舞台となりますが、ホテルで思い出すのは
やはり「黄昏ホテル」
本書も「黄昏ホテル」同様、まさに解説文にあるように因縁めいたつながりの
ある人々が集います。

それにしても、これだけの登場人物を本当にうまく描ききるなあと感心します。
プロローグのおそらくは虚偽の証言をした森川礼子と、それを依頼した千葉克茂。
この二人の物語が次項から始まるかと思いきや、お見合い叔母さんの異名を取る
児島光枝が登場し(笑)さらには辻川寿男とその妻・友世・・・と
目まぐるしい場面展開にもかかわらず、読みづらさを感じない。さすがです。

本作ではホームズの弟子(?)パリという子猫が登場します。
どういう風貌なのかはっきり書かれていないのですが、ホームズがなにやら指導をしている
場面もあるし、かなり優秀な弟子のようです。

最後の大団円は、ご都合主義といってしまえばそれまでですが、
しかしこれがホームズや片山たちが持つ事件解決の力なのでしょう。

今回の解説で山前譲さんは、カッパノベルズ刊行時の<著者のことば>を
引用して、このシリーズのおおまかな流れを説明されています。

ところが文庫購入だとこの<著者のことば>を読めず、今回紹介されて、
改めて本シリーズの位置づけの変遷を垣間見ることができた気がします。


「推理」や「狂死曲」「怪談」「降霊騒動」といった作品群から、
「花嫁人形」「危険な火遊び」「怪談を上る」そして本作「証言台」。
山前さんも指摘されるように、本シリーズは現実社会の変遷を相当受け入れつつも、
そこにホームズ・片山姉妹・石津刑事・栗原捜査一課長といった「変わらない」
シリーズキャラクターを入れる事で、現代社会や時の世相へ常にメッセージを
送り続けているのでしょう。
赤川さんはそれを一貫して行ってきたのかもしれませんが、
やはり初期・中期と比較しても、この色合いは近年の作品群に多く見受けられる
気がします。

とはいえ、前にも書きましたが、初期・中期の作品群のテイストも読みたいのは確か(笑
先生、ぜひお願いします。


三毛猫ホームズの証言台 (光文社文庫)

三毛猫ホームズの証言台 (光文社文庫)

  • 作者: 赤川 次郎
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2019/04/11
  • メディア: 文庫



三毛猫ホームズの証言台 (光文社カッパ・ノベルス)

三毛猫ホームズの証言台 (光文社カッパ・ノベルス)

  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2016/12/20
  • メディア: Kindle版



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心霊殺人事件-安吾推理短編 [ミステリ]

まずはAmazonさんの紹介ページから。

本格推理にして本格文学。安吾ミステリが『不連続殺人事件』だけではもったいない!
同じくあの巨勢博士が活躍する「選挙殺人事件」「正午の殺人」、
元奇術師・伊勢崎九太夫がいい味を出す「心霊殺人事件」「能面の秘密」。
そして、あずかり知らぬわが涙かな―傑作「アンゴウ」…。
知的パズルの面白さも存分に発揮した全10篇。

この連休は積ん読本をどんどん読んでいこうと思っていたのですが、
ほとんど寝ているばかりで、中々進みません。

本書は連休前から読み進めていた一冊。
巨瀬博士以外にも探偵役が居たのですね。驚きました。
しかし、この伊勢崎九太夫、性格的には巨瀬博士に近いなあと感じました。
博士よりイヤミでは無いですが(笑

「アンゴウ」は傑作。暗号小説として、あるいはミステリとしてという意味でなく、
最後の余韻含め、ラストを飾るにふさわしい作品です。
安吾とかけているんでしょうね、だからわざとカタカナ表記なんでしょうか。

他では「選挙殺人事件」と「影のない犯人」の2編。
前者は、殺人事件そのものよりも、なぜ選挙に出たのかというホワイダニットの要素
がとても面白い。明かされる動機も意表を突いています。

後者は時代や世相を反映させた作品といえますが、これは推理小説なのかどうかという
問題はありそうな気がします(笑
兄妹の会話の後に書かれるラストの描写はある種傑作です。このタイトルの
意味を語ってくれています。


心霊殺人事件: 安吾全推理短篇 (KAWADEノスタルジック 探偵・怪奇・幻想シリーズ)

心霊殺人事件: 安吾全推理短篇 (KAWADEノスタルジック 探偵・怪奇・幻想シリーズ)

  • 作者: 坂口安吾
  • 出版社/メーカー: 河出書房新社
  • 発売日: 2019/03/05
  • メディア: 文庫



心霊殺人事件 安吾全推理短篇 KAWADEノスタルジック 探偵・怪奇・幻想シリーズ (河出文庫)

心霊殺人事件 安吾全推理短篇 KAWADEノスタルジック 探偵・怪奇・幻想シリーズ (河出文庫)

  • 出版社/メーカー: 河出書房新社
  • 発売日: 2019/03/06
  • メディア: Kindle版



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怖ろしい夜 [西村京太郎]

まずはAmazonさんの紹介ページから。

秋山は商事会社の平凡なサラリーマンだ。給料日、28歳になる恋人の明子に結婚を申し込んだところ、
あと半年待って欲しいと言われた。半年したら叔母の莫大な遺産が入るというのだ。
だが、彼女はその晩何者かに殺されてしまう。しかも彼女には叔母などいなかった。
秋山は殺人犯の容疑をきせられ逃亡するが……。
事件の裏には意外な事実が!!(「夜の追跡者」) 妖しい夜、寂しい夜、暗い夜。
様々な夜をテーマにしたオリジナル短編集。

久しぶりの西村御大の作品です。以下、少しネタバレ。




オススメは「怠惰な夜」と「夜の脅迫者」
この2編、似ているんですよね。いずれも自業自得というか、藪をつついて蛇を出す
かのような話です。
特に前者は、遺産を狙うという明瞭な目的があるとしか思えない状況を、
実にうまく利用した木村京子の作戦勝ちでしょう。


刑事モノとしては中々秀逸なのは「夜の牙」
十津川警部&亀井刑事のコンビが有名ですが、この三井刑事&安田刑事の
他の作品も読みたくなりました。

「夜の追跡者」は付き合っていた彼女の嘘から始まる男の悲劇ですが、
本作はラストがある意味どんでん返し的な話なんですが、
絶対この刑事は処分されるだろうと思います(笑
付けている間にさらに人が殺されているじゃないかと。


怖ろしい夜 (角川文庫)

怖ろしい夜 (角川文庫)

  • 作者: 西村 京太郎
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2019/01/24
  • メディア: 文庫



怖ろしい夜 (角川文庫)

怖ろしい夜 (角川文庫)

  • 出版社/メーカー: KADOKAWA / 角川書店
  • 発売日: 2019/01/24
  • メディア: Kindle版



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世界推理短編傑作集4 [ミステリ]

まずはAmazonさんの紹介ページから。

珠玉の推理短編を年代順に集成し、一九六〇年初版で以来版を重ね現在に至る『世界短編傑作集』
を全面リニューアル!第四巻にはコッブ「信・望・愛」、ノックス「密室の行者」、
バーク「オッターモール氏の手」、ハメット「スペードという男」、ダンセイニ「二壜のソース」、
ウォルポール「銀の仮面」、セイヤーズ「疑惑」、クイーン「いかれたお茶会の冒険」、
ベイリー「黄色いなめくじ」の一九三〇年代以降の名作九編を収録!


以下ややネタバレ。




本書所収で最も有名なのは「二壜のソース」ではないでしょうか。
ラストの1行が持つ恐ろしい意味が読者に衝撃を与えます。

個人的に最も恐ろしいと感じたのは「銀の仮面」。
これ、推理短編なんでしょうか。
ホラー小説に感じました。そして極めて後味も悪い作品です。
藤子不二雄Aの『魔太郎がくる』にも似たような話がありますが、
これはその先駆けなんでしょうね。
相手の善意を逆手に取っているのが、さらにたちが悪いですけど。
(というか、初めからそこを狙っていたとも読めますけど)

これに最初之「オッターモール氏の手」も推理小説というよりも、
サイコサスペンスに近い印象を持ちました。

クイーンの「いかれたお茶会の冒険」は傑作ですね。
単純な謎を、名探偵自身が「奇妙な味」に実は仕立てているという、
かなり面白い趣向です。
徹頭徹尾、ルイス・キャロルの『鏡の国のアリス』を意識して書かれてているのも
良いのです。特に「鏡」からクイーンがヒントを得るところが個人的には秀逸。

「密室の行者」は、密室内に、食べ物や飲み物があったにもかかわらず、
餓死するという、極めて不可思議な謎が魅力的です。
トリックはよく上手くいったなあと思いますが、これに気付いた探偵を褒めるべきでしょう。



世界推理短編傑作集4【新版】 (創元推理文庫)

世界推理短編傑作集4【新版】 (創元推理文庫)

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2019/02/12
  • メディア: 文庫



世界短編傑作集 4 (創元推理文庫 100-4)

世界短編傑作集 4 (創元推理文庫 100-4)

  • 作者: E.ヘミングウェイ
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 1961/04/07
  • メディア: 文庫



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大聖堂の殺人 ~The Books~ [周木律]

まずはAmazonさんの紹介ページから。

解は示された。大人気シリーズ、ついに終幕!
天才数学者が館に隠した時と距離を超える最後の謎。

すべての事件を操る数学者・藤衛に招かれ、北海道の孤島に聳え立つ大聖堂を訪れた宮司百合子。
そこは、宮司家の両親が命を落とした場所だった。災禍再び、リーマン予想の解を巡り、
焼死や凍死など不可解な殺人が発生する。しかし、藤は遠く離れた襟裳岬で講演の最中だった。
大人気「堂」シリーズ、ここに証明終了!
以下、少しネタバレ。





「堂」シリーズ最終作。
ついに「藤天皇」こと藤衛と宮司百合子・善知鳥神が対峙します。
ところでこのシリーズのトリックは回転・動くが確実なので、
今回は一体何が回転するのか気になっていました。

今回は「動く」のですが、これはまたアクロバティックすぎます。
また、かつて起きた殺人をなぞるように起きる連続殺人のトリックもお見事。


しかし、最終作にしてはちょっとなあという読後感。
まず、自分は妖精という数学者は本当に必要だったのか、よくわかりません。
各章のタイトルも「闇」や「蝕」などは要らなかったのでは・・・

最大の不満は十和田只人の扱いです。
本シリーズの探偵役を途中まで務めたにも拘わらず、その立場の逆転には
非常に驚きました。
本書で彼が藤天皇に従属している旨が書かれますが、これまでのシリーズで
そういう描写ありましたっけ?(私が失念しているだけでしたらすいません。)

個人的には本書で再び探偵役に返り咲いて欲しかったのですが、
本シリーズが十和田只人の物語と見せかけて、実は宮司百合子の物語で
あることを踏まえれば、中々難しいとは思いましたが・・・

で、彼は本当に本書では何もしない。いや、最後に腕力を発揮したくらいで、
百合子の説得は全く効果なし。こんな姿は観たくなかったなあ・・・

またかつて大聖堂で起こった殺人事件の真相がちょっとなあ・・・
他国に居た人物がいかに殺人を行えたのかというのは、
確かにこの真相くらいでないと中々難しいのでしょう。

ただし、本シリーズは館シリーズを意識しているのは間違いないでしょうが、
最初、堂を作った沼四郎、そして放浪の数学者・十和田只人という探偵役。
この基本を完全に180度変えつつも、シリーズとして続けたのは、素晴らしいと思います。

周木律先生、お疲れ様でした。
これからも我々を楽しませてください。



大聖堂の殺人 ~The Books~ (講談社文庫)

大聖堂の殺人 ~The Books~ (講談社文庫)

  • 作者: 周木 律
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2019/02/15
  • メディア: 文庫



大聖堂の殺人 ~The Books~ (講談社文庫)

大聖堂の殺人 ~The Books~ (講談社文庫)

  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2019/02/15
  • メディア: Kindle版



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ヨギ・ガンジーの妖術 [泡坂妻夫]

まずはAmazonさんの紹介ページから。

名(酩?迷?)探偵ヨギ ガンジー登場!ドイツ人とミクロネシア人と大阪人の血をひき、
ロンドンではヨーガを教え、シカゴではすりの実演、東京では医者を相手に催眠術の講義をする、
謎の男ヨギ ガンジー。心霊術、念力術、予言術、枯木術、読心術、分身術、そして遠隔殺人術…。
頭にターバンを巻き、長い白衣を着た正体不明の名探偵が、超常現象としか思えない
不思議な事件の謎に挑む!

泡坂御大作品の復刊と、『引退公演』の文庫刊行が近く
とてつもなく有名だけど、未読のヨギ・ガンジーシリーズを購入しました。
なお、長編2編も購入済みです。
以下、少しネタバレ。



オススメは「王たちの恵み<心霊術>」と「釈尊と悪魔<読心術>」の2編。

前者は募金箱から「誰が」寄付金を盗んだのか?という謎が、
ガンジーにより180度逆転するという傑作。
最初の登場作品なのに、泥棒に間違われているガンジーも面白いです。

後者はガンジーの謎解きもさることながら、霧丸の役者ぶりが良い。
しかし、ガンジーと不動丸のコンビは確かに劇団に向いてそうですね。

それにしてもガンジーは各方面で先生と呼ばれながら、実際に神秘的な力を
持っていないというのを、その人たちも知っているというのが中々に面白い。
ところで名探偵→迷探偵→酩探偵とその表記の変化は当然見逃せません。
私としては、もっと短編で「名探偵」のガンジーの活躍が読みたかったですね。



ヨギ ガンジーの妖術 (新潮文庫)

ヨギ ガンジーの妖術 (新潮文庫)

  • 作者: 泡坂 妻夫
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1987/01/27
  • メディア: 文庫



ヨギ ガンジーの妖術(新潮文庫)

ヨギ ガンジーの妖術(新潮文庫)

  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2018/07/01
  • メディア: Kindle版



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屋上 [島田荘司]

まずはAmazonさんの紹介ページから。

自殺する理由がない男女が、次々と飛び降りる屋上がある。足元には植木鉢の森、
周囲には目撃者の窓、頭上には朽ち果てた電飾看板。そしてどんなトリックもない。
死んだ盆栽作家と悲劇の大女優の祟りか?霊界への入口に名探偵・御手洗潔は向かう。
人智を超えた謎には「読者への挑戦状」が仕掛けられている!

U銀行の屋上にある数多くの盆栽(盆景)
この盆栽は多くのいわくがあり、この盆景へ水をやりにいった行員・岩木俊子が
突然自殺し、その後も次々と、「自殺しない」と言っていた行員の自殺が続く。
これを取材していた小鳥遊記者は、御手洗潔へ相談し・・・

最初のオカルト的な話は話の枕であり、なぜ住田係長の部下、そして最後には住田係長
までもが自殺してしまうのか、というのは本当に謎です。
これをどう論理的に御手洗が解決するのか、気になり気になり一気読みしました。

途中途中フォントが違う物語が挿入されます。
これが「苦行者」田辺信一郎と「サンタクロース」菩提裕太郎の二人の物語です。
解説で乾くるみ先生が、両者ともトイレで人生のどん詰まりを味わうという共通点が(笑

そして先生が本書を「ユーモアミステリ」と評しているのですが、これは納得。
まず舞台が神奈川県T見市なのに、大阪が舞台かのような錯覚を起こさせる登場人物。
そして上記のトイレでの人生どん詰まり。
最後に明らかにされる真相も、ユーモアミステリと言って良いのではないでしょうか。


本事件は1991年頃に起きた事件らしく、まだ石岡との共同生活中の、
エキセントリックが目立つ頃の御手洗の事件でかなり楽しみにしていました。
真相はかなり驚きましたが、屋上の図面はほしかったなあ・・・
それと、小鳥遊兄弟のあまり意味がない会話が続くのが苦痛でした。

しかし、この頃の御手洗の事件簿はもっと読みたいですね。


ところで、乾先生の解説は必読です。
特に『占星術殺人事件』の刊行2週間後に、横溝正史御大が死去し、
御大が島田荘司へ本格・新本格の旗手のバトンを渡した、という話はある種感動しました。
島田荘司御大という旗手は、講談社の宇山日出臣氏、東京創元社の戸川安宣という
お二人を得て、平成が終わろうとする中、多くの担い手を生み出しました。

これからも御大には幅広い活躍とともに、若き御手洗シリーズもぜひ執筆をお願いします。



屋上 (講談社文庫)

屋上 (講談社文庫)

  • 作者: 島田 荘司
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2019/02/15
  • メディア: 文庫



屋上 (講談社文庫)

屋上 (講談社文庫)

  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2019/02/15
  • メディア: Kindle版



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死者の輪舞 [泡坂妻夫]

まずはAmazonさんの紹介ページから。

大観衆に湧く競馬レースの最中、男が刺殺された。偶然居合わせた警視庁特犯課の
新米刑事・小湊進介はベテラン刑事・海方惣稔とともに捜査を開始。
鮮やかな手口からすぐに容疑者の名前が挙がるが、この殺人を皮切りに容疑者が
次から次へと殺されていく殺人リレーがはじまり…果たして真犯人が仕組んだ謎を、
二人は解けるのか?

久しぶりの更新です。
昨年、河出書房が泡坂妻夫作品を3作(「花嫁のさけび」「妖盗S79号」「迷蝶の島」)
が復刊されましたが、なんとそれに続く泡坂作品復刊です。

本書は全く知りませんでした。そして長編。しかも刑事が探偵訳を務める作品とは。

海方の名台詞(?)の「これにてお終い、目出度く千秋楽、ちょんちょんだ」は
本書で何度も何度も登場します(笑

海方はこの殺人が連続殺人、リレー殺人であることに少し気付きながら、
早く解決させたい(捜査が面倒くさいから・笑)ため、上記台詞を多用しているんでしょうねえ。

ただし、立田一圓の「宝くじに当たる以上の確率の」死去は、海方にとっては
自らの考えに疑念を持ったのかもしれませんが。いや、面倒だっただけか(笑

被害者の繋がりに勝畑病院が関係しているのは想像できるのですが、
立田の殺人と、最後のあるどんでん返しがお見事。
ただし、海方と小湊は情けないなあ・・・

次作の『毒薬の輪舞』も4月に発売予定!楽しみです。


死者の輪舞 (河出文庫)

死者の輪舞 (河出文庫)

  • 作者: 泡坂 妻夫
  • 出版社/メーカー: 河出書房新社
  • 発売日: 2019/02/06
  • メディア: 文庫



死者の輪舞 (講談社文庫)

死者の輪舞 (講談社文庫)

  • 作者: 泡坂 妻夫
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 1989/01/01
  • メディア: 文庫



死者の輪舞 (講談社文庫)

死者の輪舞 (講談社文庫)

  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 1989/01/01
  • メディア: Kindle版



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ゴールド・マイク [赤川次郎]

まずはAmazonさんの紹介ページから。

川畑あすかは友達の佳美とともにオーディションに挑戦していた。三度目にもかかわらず、
“あがり性”のあすかは、途中で歌えなくなってしまう。ところが、本選終了後に
審査員のNK音楽事務所中津が声をかけたのはあすかだった!佳美にそのことを話せぬまま、
アイドルへの道を進みだしてしまったあすかは一気にスターへの階段を駆け上がるが、
周囲には大人たちの黒い思惑が渦巻いていた!

この作品はダブル主人公という、赤川作品では珍しい作品だと思います。
しかも、芸能界を舞台としており、「川畑あすか」は偶像世界の、「前田佳美」は現実世界の、
というある種の棲み分けが出来ているんではないかと深読み。

あすかをめぐる各芸能事務所の思惑や、その関係者、そして家族・・・
ドロドロした汚いものが見える中で、
あすかと佳美は、自らを見失うことなく、力強く前に進んでいきます。
これがとても素晴らしい。

そして全てを見通しているかのような存在である佳美の彼氏・高林悟。
実のところ真の主人公ではないかと思いました。

ひとつ腑に落ちないのは、川畑亮の事件。
結局亮が殺人犯だったようですが、あの場面や説明はちょっとよくわかりませんでした。


それにしても赤川作品が続きました。やっぱり面白いんですよね。


ゴールド・マイク (徳間文庫)

ゴールド・マイク (徳間文庫)

  • 作者: 赤川 次郎
  • 出版社/メーカー: 徳間書店
  • 発売日: 2019/02/08
  • メディア: 文庫



ゴールド・マイク (幻冬舎文庫)

ゴールド・マイク (幻冬舎文庫)

  • 作者: 赤川 次郎
  • 出版社/メーカー: 幻冬舎
  • 発売日: 2001/10/01
  • メディア: 文庫



ゴールド・マイク (幻冬舎文庫)

ゴールド・マイク (幻冬舎文庫)

  • 出版社/メーカー: 幻冬舎
  • 発売日: 2001/09/30
  • メディア: Kindle版



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スパイ失業 [赤川次郎]

まずはAmazonさんの紹介ページから。

入院中の夫と中1の娘を抱える主婦のユリ。その正体は東ヨーロッパにある小国のスパイだった!
しかし財政破綻で祖国は突然消滅、ユリが表の仕事である通訳に専念しようと決めた矢先、
駅のホームから突き落とされかけたり、派遣先のパーティ会場で大臣を狙う暗殺者に遭遇したりと、
周囲が騒がしくなる。ついには夫と娘にも危険が迫り、ユリは謎の敵に立ち向かう―。
すべては家族を守るため。戦う母のユーモアミステリー!

以下、ややネタバレ。





赤川先生の作品では殺し屋(元殺し屋)や泥棒などは主人公で多く登場しますが、
スパイはあまり居ないイメージです(知らないだけでしたらすいません。)
本書のタイトルが、中を読むと実に皮肉が効いていて、
これまで勤めてきた「スパイ」的な仕事(実際は単なる情報収集のみ)より、
国が無くなり、その仕事を失業してからの方が、スパイの仕事をしているんですよね。
スパイというより007に近いくらい。
しかも他人がユリをそのように見ている(特殊諜報部員)というのもまた皮肉です。

自分の夫が重大な秘密を握っているものの、直接に夫婦でその話は語られない所や、
最後に登場する黒幕がある超意外な人物だったりと、意表を突くドンデン返しもあり、
一気読み、間違いなしです。

そして確実に怪しいユリの相方(?)を勤めることになる河本くんが
怪しいだけで、何の関係もないけども、ものすごく度胸が据わっている人物だったり。
一国の隠し財産を巡る、凄惨な争いが描かれるのですが、その凄惨さを覆い隠す
ユーモアを実ニうまく織り交ぜています。さすが赤川先生。

最後のある超意外な人物の所は、物語を離れ、日本がスパイ天国を言われている皮肉にも
読めましたが、さすがにこれは深読みでしょうね。


スパイ失業 (角川文庫)

スパイ失業 (角川文庫)

  • 作者: 赤川 次郎
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2019/01/24
  • メディア: 文庫



スパイ失業 (角川文庫)

スパイ失業 (角川文庫)

  • 出版社/メーカー: KADOKAWA / 角川書店
  • 発売日: 2019/01/24
  • メディア: Kindle版



スパイ失業 (ハルキ文庫)

スパイ失業 (ハルキ文庫)

  • 作者: 赤川 次郎
  • 出版社/メーカー: 角川春樹事務所
  • 発売日: 2000/12/01
  • メディア: 文庫



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明日に手紙を [赤川次郎]

まずはAmazonさんの紹介ページから。

製品に欠陥のある洗濯機が原因で、女性が感電死する。製造元のK電機工業は欠陥を知りながら
それを認めず、世間から非難を浴びる。そんな悪い状況から抜け出したいK電機工業の成瀬は、
被害者家族の平田夫婦や不買運動をしている人々の絆を壊すため、
捏造した手紙を出す計画を提案する。その計画は思惑通りに進んでいくかに思われたが…。

良くも悪くも、一族経営に近いK電機工業、社長は後半部分でまともな対応に出るのですが、
息子が酷すぎる。社長の対応だけではおそらくもう会社の建て直しは無理でしょうね・・・

K電機ばかりを攻めるマスコミや、被害者家族、不買運動を続ける人々を
混乱させる目的で書かれた手紙。
それがK電機への不買ではなく、平田家の現実のものとなるというのは
手紙を出した成瀬夫人やこれを画策した武藤副社長も予想だにしなかったでしょう。

一方、現代社会で手紙、というのはせいぜい年賀状で残っているくらいでしょうか。
それすらも、LINEやe-mailで事足りる世の中になりました。
しかし、手紙の持つ<不気味さ>はLINEやe-mailでは表現できないでしょう。
今の時代でも、突然自分の所へ、奇妙な手紙が届いたら・・・
本作はそんな手紙の持つ異様さ、不気味さも表していると感じました。


明日に手紙を (実業之日本社文庫)

明日に手紙を (実業之日本社文庫)

  • 作者: 赤川 次郎
  • 出版社/メーカー: 実業之日本社
  • 発売日: 2018/12/06
  • メディア: 文庫



明日に手紙を (中公文庫)

明日に手紙を (中公文庫)

  • 出版社/メーカー: 中央公論新社
  • 発売日: 2000/04/01
  • メディア: Kindle版



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世界推理短編傑作集3 [ミステリ]

まずはAmazonさんの紹介ページから。

珠玉の推理短編を年代順に集成し、1960年初版で以来版を重ね現在に至る
『世界短編傑作集』を全面リニューアル!!第3巻にはフィルポッツ「三死人」、
クリスティ「夜鶯荘」、ワイルド「堕天使の冒険」、ユーステス「茶の葉」、
ウイン「キプロスの蜂」、ロバーツ「イギリス製濾過器」、ヘミングウェイ「殺人者」、
コール夫妻「窓のふくろう」、レドマン「完全犯罪」、バークリー「偶然の審判」
の1920年代の作品10編を収録した。

以下、ネタバレあり。





馬鹿馬鹿しい一言かもしれませんが、本当にどれも傑作です。
「三死人」は、動機、いわばハウダニットに焦点をあてた傑作。
名探偵デュヴィーンはあくまで三人の性格のみを知った上での推理、と付け加えますが、
これがまた実に見事な推理。

クリスティの「夜鶯荘」も初読。
知り合ってすぐに結婚した男女。
夫のちょっとした言動や、ひょんなことから知る夫の嘘、そして鍵のかかった引き出しに
入っていた新聞記事から、夫が自分を殺そうとしているのでは?と疑心暗鬼に陥り、
それから反抗していくまでが一気に語られます。
ラストまで読むと、怖いのは夫なのか妻なのか中々わからなくなる作品。
夫も意外と小心者なのではないかとちょっと思ってしまった(笑

「茶の葉」はもう言わずもがな、ミステリ好きなら即気付くトリックでしょう。
しかし、茶の葉がどう関係するのかと、法廷で真実を暴くという場面が良い。

「窓のふくろう」は密室を扱った殺人事件なのですが、
実の所犯人はもうあからさまなのです。
ただし、この表題が一番ミステリアスというか、中々凝っているなあと感じます。

「完全犯罪」は「推理小説で終わる推理小説」と評された作品。
名探偵=名犯人という構図をそのままミステリとした稀な作品。
あ、しかし名探偵ではないからこそ、この犯罪が生まれたというのは
また皮肉です。

すでに4巻も刊行されました。こちらも楽しみです。



世界推理短編傑作集3【新版】 (創元推理文庫)

世界推理短編傑作集3【新版】 (創元推理文庫)

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2018/12/20
  • メディア: 文庫



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殺意のまつり [山村美紗]

まずはAmazonさんの紹介ページから。

二十年前に発生した殺人事件の真犯人と名乗る男が現れた。だが、
当時捕まった男は十五年の刑期を終えて出所している。調査を進める弁護士の元には、
冤罪の証拠が続々積み上がる(「殺意のまつり」)。どんでん返しの連続に巧緻なトリック。
「女王」の片鱗をすでに発揮した初期傑作が一堂に!

本ブログでは山村美紗先生の著書は初めて。
近年の各作家さんの復刊ブームで、本書も復刊し、気になっていたので購入しました。

本格色が強いのは「恐怖の賀状」と「黒枠の写真」でしょうか。
後者は関東圏に住んでいる人は陥りやすいミスだろうなあ。
ただ、本作の大沢五郎の決断力の早さは凄すぎます。殺人を思い立ってから即実行という。

「孤独な証言」は現在でも当てはまる、奥が深い作品。
唯一生き残った乗客の証言、それをどう「解釈」するかは聞き手次第。

表題作は秀作。
過去の殺人事件が実はえん罪ではないか?という所から物語が始まり、
それが晴らされるのかが焦点と思いきや、最後の怒濤の展開が素晴らしい。
まさに「殺意のまつり」というタイトルに偽りなし。

千街さんの解説にある『幻の指定席』や『死体はクーラーが好き』もぜひ復刊を
お願いします。



殺意のまつり-山村美紗傑作短篇集 (中公文庫)

殺意のまつり-山村美紗傑作短篇集 (中公文庫)

  • 作者: 山村 美紗
  • 出版社/メーカー: 中央公論新社
  • 発売日: 2018/07/20
  • メディア: 文庫



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鏡面堂の殺人 ~Theory of Relativity~ [周木律]

まずはAmazonさんの紹介ページから。

異形の建築家が手掛けた初めての館、鏡面堂。すべての館の原型たる建物を訪れた百合子に、
ある手記が手渡される。そこには、かつてここで起きたふたつの惨劇が記されていた。
無明の闇に閉ざされた密室と消えた凶器。館に張り巡らされた罠とWHO、WHY、HOWの謎。
原点の殺人は最後の事件へ繋がっていく!

前々作で探偵役が自らその役を降り、そして前作でワトソン役(たち)が降板するという、
シリーズとしては異例の歩みを続ける<堂>シリーズ。
本作では、一連の事件の発端になった(と思われる)「鏡面堂」の事件が語られます。




やはり<堂>は回転するのです。これがこのシリーズの貫徹したものでしょうね。
また「手記」という体裁を取って語られることから、そこに何かの仕掛けがあるのは
なんとなく予想がつきます。

トリックそのものはさすがだし、容疑者外しの過程も面白い。
容疑者のそれぞれの特徴がうまく落とし込まれていて、上記書いた仕掛けは
決して読者にとってアンフェアである訳ではありません。

しかし、そもそもの事件を起こした動機がどうもなあ・・・という印象。
まあこれはシリーズ通してもそのようなものは見受けられましたけど。
「手記」を書いた人物にしても、想像がだいたいつくし、
やはり宮司司と百合子、そして十和田只人、善知鳥神が巻き込まれた事件の謎が
最後まで鍵となるようです。

次作であり最終作「大聖堂の殺人~The Book~」に期待しましょう。



鏡面堂の殺人 ~Theory of Relativity~ (講談社文庫)

鏡面堂の殺人 ~Theory of Relativity~ (講談社文庫)

  • 作者: 周木 律
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2018/12/14
  • メディア: 文庫



鏡面堂の殺人 ~Theory of Relativity~ (講談社文庫)

鏡面堂の殺人 ~Theory of Relativity~ (講談社文庫)

  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2018/12/14
  • メディア: Kindle版



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カササギ殺人事件 [ミステリ]

まずはAmazonさんの紹介ページから。

名探偵アティカス・ピュント・シリーズ最新刊『カササギ殺人事件』の原稿を読み進めた
編集者のわたしは激怒する。こんなに腹立たしいことってある??著者は何を考えているの?
著者に連絡がとれずに憤りを募らせるわたしを待っていたのは、予想だにしない事態だった――。
クラシカルな犯人当てミステリと英国の出版業界ミステリが交錯し、とてつもない仕掛けが炸裂する!
夢中になって読むこと間違いなし、これぞミステリの面白さの原点!

1955年7月、パイ屋敷の家政婦の葬儀がしめやかにおこなわれた。
鍵のかかった屋敷の階段の下で倒れていた彼女は、掃除機のコードに足を引っかけたのか、
あるいは……。その死は小さな村の人々へ徐々に波紋を広げていく。
消えた毒薬、謎の訪問者、そして第二の死。病を抱えた名探偵アティカス・ピュントの推理は――。
現代ミステリのトップ・ランナーによる、巨匠アガサ・クリスティへの愛に満ちた
完璧なるオマージュ作品!

作中作である「カササギ殺人事件」は実に見事な作品です。
名探偵アティカス・ピュントはホームズでも、ポワロでもない、別のタイプの名探偵ですが、
サクスビー・オン・エイヴォンという片田舎、准男爵が住むパイ屋敷、
開発計画が進む村の森・ディングル・デル、噂好きの家政婦の死etc・・・
これでもかと、確かにクリスティへのオマージュに満ちあふれています。
そしてこれがまたおもしろい。
ピュントは村の人々それぞれに話を聞き、そしてその話を聞く一方で
住民たちの顔もまた見えてくるのです。
牧師夫婦の行動、老医師の遺した言葉、追放された准男爵の妹。
登場する人物なにやら謎めいていて、それでいて魅力的なのです。

ポワロでもない、と書きましたが、実のところ捜査方法や着眼点などは結構似ている
気がしました。
下巻のかなり後になり、ようやくピュントから真相が語られるのですが、
家政婦の残した日記の真の意味や、暖炉の燃え滓と手紙、この2つが事件の真相を明らかにする
決定的なものであることをピュントが見抜く所は思わず唸りました。

この作中作「カササギ殺人事件」は、確かにこれは昨年度No.1というのは頷けます。
元々作者であるアンソニー・ホロヴィッツ作品は、シャーロック・ホームズの正当な続編で
ある『絹の家』を読んだ経験がありますが、あれはホームズものにする必然性は
感じませんでしたね。ミステリとしての出来云々よりホームズ譚かどうか、が
かなりウエイトを占めていたので、あまり好きではありませんでした。

しかし、本書は作中作で言えば、非常に楽しめました。
一方で、本作で描かれるまさに現代の事件、つまりカササギ殺人事件を書いたアラン・コンウェイ
の死に隠された真相は、うーんという感じ。
アランがピュントシリーズに隠したメッセージそのものは、中々面白いとは思います。
余談ですが、日本語だとネットでしか見ない言葉なのですけど、原文は何なんでしょう?

しかし、アランを殺した犯人の動機がそこにあったとしても、ちょっと納得できないかなあ。
しかも、真相が明るみにでても犯人を庇うような言動があったというのもどうかと。

このメッセージが出たところで、そこまで売上に影響が出るのだろうかと?でしたが、
結果的に物語内でも、ほとんど影響しなかったと語られているので、何のための
殺人だったのかと。
しかし、ある意味、物語上の殺人事件と、現実で起こる殺人事件の落差を描いている、
とも読めるので、そう考えるとそこまで悪くないかもしれないですね。

本書には数多くのオマージュ、パスティーシュがふんだんに盛り込まれているようなので、
それらを知っている方は、さらに楽しめるのではないかと思います。
いずれにせよ、アラン著の「カササギ殺人事件」はオススメです(笑


カササギ殺人事件〈上〉 (創元推理文庫)

カササギ殺人事件〈上〉 (創元推理文庫)

  • 作者: アンソニー・ホロヴィッツ
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2018/09/28
  • メディア: 文庫



カササギ殺人事件〈下〉 (創元推理文庫)

カササギ殺人事件〈下〉 (創元推理文庫)

  • 作者: アンソニー・ホロヴィッツ
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2018/09/28
  • メディア: 文庫



カササギ殺人事件 上 (創元推理文庫)

カササギ殺人事件 上 (創元推理文庫)

  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2018/09/28
  • メディア: Kindle版



カササギ殺人事件 下 (創元推理文庫)

カササギ殺人事件 下 (創元推理文庫)

  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2018/09/28
  • メディア: Kindle版



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幽霊から愛をこめて [赤川次郎]

まずはAmazonさんの紹介ページから。

高校一年の大宅令子は、編入先の全寮制山水学園へ向かっていた。同行する父は警視庁捜査一課の警部。道中、昨夜起きた殺人事件の話を知る。なんと学園の女子生徒が寮へ戻るところを殺されたという。
直前まで被害者と一緒にいた同級生は「白い幽霊をみた」と話していた。
事件に首を突っ込みたくなるタチの令子は、真相を探り始める。
一方、東京のNデパートでもよく似た殺人事件が発生する!

連続で赤川次郎御大。これも昨年読了済み。

いつもの女子高生主人公が事件を解決するユーモアミステリとはちょっと違います。
舞台は山間の全寮制山水学園だけでなく、東京でも似たような事件が起こり、
さらには主人公が3か月以上も行方不明になるという、大事件に。
ラスト、主人公へは伝えられない、ある非常に辛い真実が明かされるのですが、
令子は気付きそうですね。

単なる殺人事件に留まらず、なぜ殺人事件が起こり、令子にそっくりの人物までが目撃されるなど、
山水学園やその背後にある団体の真の目的はかなり驚きました。
赤川先生の作品で、幽霊とタイトルが付くと、だいたい本物の幽霊が登場したりするのですが、
それでもユーモアミステリなんですよね。
しかし、本作はそうではなく、なんというかカルトかつ普通に現在でも起こる可能性が
あるのではないかと感じました。


幽霊から愛をこめて (徳間文庫)

幽霊から愛をこめて (徳間文庫)

  • 作者: 赤川 次郎
  • 出版社/メーカー: 徳間書店
  • 発売日: 2018/11/02
  • メディア: 文庫



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ローレライは口笛で [赤川次郎]

新年あけましておめでとうございます。
本年もよろしくお願い申し上げます。

新年一発目は昨年読了本から。
まずはAmazonさんの紹介ページから。

ナース仲間の久江、和子、千寿の三人は、休暇を取ってヨーロッパへ。ライン川の遊覧船で、
初老の紳士が具合を悪くした。彼を助けた千寿は、お礼にチェスの駒が付いたキーホルダーをもらう。
その紳士が行方不明になっている大学教授だと知った彼女は、帰国後、研究室に連絡をするが…。
口笛が奏でるローレライ。美しいメロディが、彼女たちを殺人事件へと誘う!

場面展開がめまぐるしい。そして本作はダブル・ヒロイン。
犯人はすぐにわかります。しかしそんなことは赤川次郎作品には関係ありません。

ローレライの音色、そして口笛、この辺りは恐怖を感じますね。
最後の場面はまさか自首のために警察へ行く二人とは到底思えず、
デート中の二人にしかみえない描写なのは、赤川次郎先生らしい作品。

ローレライそのものは、殺し屋の好きな曲だったのかなあ。
その辺りはたしか描かれていないんですよね。

一点いえば、この病院には入院したくない(笑


ローレライは口笛で 新装版 (光文社文庫)

ローレライは口笛で 新装版 (光文社文庫)

  • 作者: 赤川 次郎
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2018/11/08
  • メディア: 文庫



ローレライは口笛で 新装版 (光文社文庫)

ローレライは口笛で 新装版 (光文社文庫)

  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2018/11/20
  • メディア: Kindle版



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ぼくのこのミス2018 [ミステリ]

今年もあと1日となりました。
年末恒例(?)の、今年読んだミステリのオススメをご紹介。

泡坂妻夫「花嫁のさけび」「奇跡の男」

復刊が続く泡坂妻夫先生の作品からは2作。

前者はここまでやるか、というまでの完璧なる叙述トリック。
「迷蝶の島」「妖怪S79号」と続いた河出書房新社からの復刊の中では一番のオススメ。

後者は完全に河出書房新社復刊を狙いにきた一作(笑
表題作は御大デビュー作かつ亜愛一郎初登場の「DL2号機事件」を思い起こさせます。



花嫁のさけび (河出文庫)

花嫁のさけび (河出文庫)

  • 作者: 泡坂 妻夫
  • 出版社/メーカー: 河出書房新社
  • 発売日: 2017/11/07
  • メディア: 文庫



花嫁のさけび (河出文庫)

花嫁のさけび (河出文庫)

  • 出版社/メーカー: 河出書房新社
  • 発売日: 2017/11/07
  • メディア: Kindle版



奇跡の男 (徳間文庫)

奇跡の男 (徳間文庫)

  • 作者: 泡坂 妻夫
  • 出版社/メーカー: 徳間書店
  • 発売日: 2018/05/02
  • メディア: 文庫



奇跡の男 (光文社文庫)

奇跡の男 (光文社文庫)

  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 1991/02/20
  • メディア: Kindle版



復刊つながりで、「夜の終わる時/熱い死角」
郷原部長刑事シリーズで終了していた結城昌治先生作品でしたが、
ちくま文庫からの復刊で、新たな楽しみが増えました。


夜の終る時/熱い死角 (ちくま文庫)

夜の終る時/熱い死角 (ちくま文庫)

  • 作者: 結城 昌治
  • 出版社/メーカー: 筑摩書房
  • 発売日: 2018/04/10
  • メディア: 文庫




今年はなんといってもヘレン・マクロイ作品は外せません。
「逃げる幻」と「牧神の影」
前者は圧巻。盲点を突いた作品でもあり、必読ではないかと思います。
後者はこの邦題が実に良い。暗号そのものは難解過ぎますが、物語にどんどん引き込まれます。


牧神の影 (ちくま文庫)

牧神の影 (ちくま文庫)

  • 作者: ヘレン マクロイ
  • 出版社/メーカー: 筑摩書房
  • 発売日: 2018/06/08
  • メディア: 文庫



逃げる幻 (創元推理文庫)

逃げる幻 (創元推理文庫)

  • 作者: ヘレン・マクロイ
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2014/08/21
  • メディア: 文庫



若竹七海「錆びた滑車」
改めて書くことはありません。
ちょっとした変化球をつけるなら、小林(元)警部補とまた共演してほしいなあ。


錆びた滑車 (文春文庫)

錆びた滑車 (文春文庫)

  • 作者: 若竹 七海
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2018/08/03
  • メディア: 文庫



錆びた滑車 葉村晶シリーズ (文春文庫)

錆びた滑車 葉村晶シリーズ (文春文庫)

  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2018/08/03
  • メディア: Kindle版



いやあ、実のところかなりの本は越年です。
また来年、たくさんのミステリに出会えることを期待します。

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切り裂きジャックを待ちながら [有栖川有栖]

毎年度、この時期にはクリスマスにまつわるミステリを紹介しています。
が、そろそろネタ切れ感が強い。
海外ミステリまで含め、そこまで多くない(はずはない)?
単に僕が知らないだけでしょうか・・・

そこで今年は有栖川有栖先生の国名シリーズ第5弾『ペルシャ猫の謎』収録の一編から。

かつて有栖川有栖の小説を舞台化したいと誘いを受けていた<屋根裏の散歩舎>の劇団員
からある相談を受ける。
それはの看板女優、鴻野摩利看板女優が誘拐され、12月24日までに身代金を振り込んで欲しい
というビデオメッセージが届けられたというものだった。
現実なのか狂言なのか、ゲネプロが行われる中、彼女の変わり果てた死体が発見される・・・

本作は動機という面では理解できないorできる、賛否両論ありそうです。
しかし、切り裂きジャックを題名に持ってきたことが、この動機と強く関連を持たせて
いるのではないかと勝手に思いました。
アリバイトリックは短時間で行ったにしてはかなり見事です。
あとは火村の登場と解決場面がかっこいい。

ところで本作含め、特に表題作「ペルシャ猫の謎」は火村シリーズの中でも異色作。
いや、この結末は中々書けません。
所収昨では「わらう月」と森下刑事が主役の「赤い帽子」が個人的オススメかつ快作。

それではすてきなクリスマス・イブ&クリスマスをお過ごしください。


ペルシャ猫の謎 (講談社文庫)

ペルシャ猫の謎 (講談社文庫)

  • 作者: 有栖川 有栖
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2002/06/14
  • メディア: 文庫



ペルシャ猫の謎 〈国名シリーズ〉 (講談社文庫)

ペルシャ猫の謎 〈国名シリーズ〉 (講談社文庫)

  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2002/06/14
  • メディア: Kindle版



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