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落ちる/黒い木の葉 [ミステリ]

まずはAmazonさんの紹介ページから。

過度な自己破壊衝動を持つ男は最愛の妻を得ることで生きる意味を見出したかに思えたが、
主治医の男と妻の関係に疑念を抱く(「落ちる」)。うだつの上がらない万年平行員の宿直当番中に
銃を持った強盗が現れた。その意外な顛末とは?(「ある脅迫」)。
サスペンスからユーモア、本格推理、叙情豊かな青春までバラエティに富む昭和ミステリの傑作短篇集。単行本未収録作「砂丘にて」収録。

本書はちくま文庫から刊行が続いている、日下三蔵氏編による結城昌治氏、仁木悦子氏などの
名短編集に続くシリーズ。
失礼ながら私は多岐川恭氏を全く知らず、本書を購入して初めて知りました。

まず冒頭の「落ちる」から驚かされます。
強い自己破壊衝動を持つ主人公は、妻・佐久子と度々来訪する医師・長峰の仲を疑い
続けているものの、長峰のある告白から始まる彼のデパートでの行動には驚愕。
係員に告げる最期の台詞も印象的。

「ヒーローの死」は自らが「ヒーロー」であることにこだわり続けた、悲しい男の物語。
「ある脅迫」は、誰が脅迫者になるのか、その後の脅迫の内容まで、そして脅迫の仕方までも
中池又吉の描かれる&想像する性格から鑑みて、相当おもしろい作品です。
笑い話にまで持っていった次長の力量は見事ですが、詰めが甘かったですね。

「黒い木の葉」は青春小説でありながら、少女の死をめぐる謎を解くミステリでもあります。
少年と少女だけでなく、少女の母親と少年の父親である画家の両者の「青春」を
振り返る物語にもなっている、と感じました。

「砂丘にて」は今でいうどんでん返しのミステリ。「その五」から始まる日下の語りは必読。

他にも自殺願望を持つ者たちの中に、自らをどん底に突き落とした男を招いた「俺は死なない」
一人の女性をめぐって争う「ライバル」等々・・・書いていくときりがありません。

これを期に多岐川恭先生の作品群が復刊していくことを望みます。


落ちる/黒い木の葉 (ちくま文庫)

落ちる/黒い木の葉 (ちくま文庫)

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 筑摩書房
  • 発売日: 2018/07/06
  • メディア: 文庫



nice!(4)  コメント(3) 
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コメント 3

コースケ

@ミックさま、nice!ありがとうございます~
by コースケ (2018-09-05 22:00) 

コースケ

31さま、nice!ありがとうございます!
by コースケ (2018-09-05 22:02) 

コースケ

鉄腕原子さま、nice!ありがとうございますm(_ _)m
by コースケ (2018-09-05 22:02) 

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