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赤い博物館 [大山誠一郎]

まずはAmazonさんの紹介ページから。

警視庁付属犯罪資料館、通称「赤い博物館」の館長・緋色冴子はコミュニケーション能力は皆無だが、
ずば抜けた推理力を持つ美女。そんな冴子の手足となって捜査を行うのは、部下の寺田聡。
過去の事件の遺留品や資料を元に、難事件に挑む二人が立ち向かった先は―。
予測不能なトリック駆使、著者渾身の最高傑作!

「密室蒐集家」に続く文春文庫の大山誠一郎さん第2弾。
ドラマ化していたようですが、観た記憶がない・・・
以下、ややネタバレ。




本作の中には2つの系統作品が入っています。
緋色冴子が単なる推理だけでなく、現実にも事件を解決するパターン。
「パンの身代金」や「「死が共犯者を別つまで」「死に至る問い」の3編がそれに該当。

一方、あくまで緋色の推理に留まり、真相がどうなのかは読者へ任せるパターン。
「復讐日記」「炎」がこれに該当。

前者では「死が共犯者を別つまで」がオススメ。
これは予想以上に予想外の流れでした。しかも見事に真犯人を挙げているところも良い。
ただし、入れ替わりやなりすましがここまで上手くいくかどうか、ちょっと難しい気も。

後者はいずれもオススメなのですが、
「日記」が必ずしも本当の事を記載していない事や、高見が守ろうとしたのは誰なのか、
という点から「復讐日記」。
「炎」は幸せな家族を襲った悲劇の裏に、実はその幸せは創られたものだったのではないかという
どこかホラー要素も含んでいて、個人的には好きな作品。
しかし、緋色の推理から考えるに、果たして妊娠をそこまでごまかすことが出来るのかどうか。
この辺りはちょっと弱い気もします。

ところで緋色冴子がキャリアなのに異動せず、8年間も閑職にいるのか。
兵藤首席監察官と同期で、事件を捜査してくれと非公式なお願いに来たり・・・
「密室蒐集家」は主人公が完全に時空を超えた存在であるから良いのですが、
本作は、次作以降でその辺りの背景まで描いてくれるとうれしいですね。



赤い博物館 (文春文庫)

赤い博物館 (文春文庫)

  • 作者: 大山 誠一郎
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2018/09/04
  • メディア: 文庫



赤い博物館 (文春文庫)

赤い博物館 (文春文庫)

  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2018/09/04
  • メディア: Kindle版



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密室蒐集家 [大山誠一郎]

第13回本格ミステリ大賞受賞作品。
原書房・ミステリーリーグからの出版でしたが、
文庫は文春文庫から。

解説の千街晶之さんが、オールタイム・ベスト選出があれば、
本作をまず挙げたいと書かれていますが、
千街さんがそこまで言うのもすごい。

全5編からなる短編集で、その事件は1937年から2001年までと幅広いのですが、
この各話の時代設定にももちろん意味があります。
どの時代に起きた事件にも、
必ず「同じ」風体の「密室蒐集家」が登場します。

この時系列に焦点を当てた面からオススメを考えると、「柳の園」と「理由ありの密室」2編。
前者の主人公・鮎田千鶴が再び登場し、蒐集家との邂逅がとても印象的です。
すでに「柳の園」事件から50年ほど経過しているのに、蒐集家の風貌は全く変わらず、
そして、彼は彼女のことも、その事件も記憶している。
千鶴にとって、これほど嬉しいことはなかったでしょう。

「理由ありの~」では密室の謎そのものではなく、なぜ密室が作られたのか?という謎に
まで彼が登場するという、作品群の中では変化球的な作品で、
それもおもしろい。
彼は言います。「密室に関する謎がある限り、私は現れます。」と。
つまり、本作はどのようにこの密室が作られたのか、を解くのではなく、
なぜ作ったのかを解き、そして本当の本事件のキーワードは
ダイイングメッセージにあるのです。

そして本作の各事件の特徴は、蒐集家による犯人当てです。
これが唐突で、かつ登場人物がこれだけ少ない中で、良くこれほど
意表を突く犯人は素晴らしい。

「少年と少女の密室」は、密室のトリックではなく、ある種のミスリードと
意外すぎる犯人の組み合わせの2点で、個人的には本作愁眉ですね。

本書のようなミステリを読めて、実に良かった。





密室蒐集家 (文春文庫)

密室蒐集家 (文春文庫)

  • 作者: 大山 誠一郎
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2015/11/10
  • メディア: 文庫



密室蒐集家 (ミステリー・リーグ)

密室蒐集家 (ミステリー・リーグ)

  • 作者: 大山 誠一郎
  • 出版社/メーカー: 原書房
  • 発売日: 2012/10
  • メディア: 単行本



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アルファベット・パズラーズ [大山誠一郎]

「密室蒐集家」で第13回本格ミステリ大賞を受賞した
大山誠一郎さんの初短編集。
まずはAmazonさんの解説ページから。

警視庁捜査一課刑事の後藤慎司、翻訳家の奈良井明世、精神科医の竹野理絵は、
彼らが住むマンションのオーナー峰原卓の部屋に集まり推理合戦に興じる。
指紋照合システムに守られた部屋で発見された死体、
クルーズ船の殺人現場に残された奇妙なダイイング・メッセージ、
三転四転する悪魔的な誘拐爆殺事件
名探偵の推理と意外な真相を鮮やかに描く、本格推理界の俊英第一の著書。

オーナーである峰原卓を探偵役とし、
捜査一課刑事である後藤が持ち込む難事件を
鮮やかに解き明かすという形式になっています。
ただ、奈良井や竹野の推理も良いところを突いていて、
峰原以外の3人も十分に探偵役の素質あり。
その点が実は最後の「Yの誘拐」に繋がる伏線でもあるわけです。

3編の中では「Fの告発」を推します。
3人しか犯人たり得ないのに、3人とも違う、
その謎を解く鍵は密室を作り出している「Fシステム」にあり。
話を聞いただけで、真相を看破した峰原は見事としか言いようがありません。

さて本書は4編収録されていますが、
最後の「Yの誘拐」だけは他3編とは別モノです。
実際に4人が実地調査に赴き、2つの推理を導き出します。
第一部 成瀬正雄の手記、第二部 再調査、
エピローグという構成となっており、
エピローグでは今までとは違う趣向が加えられています。

「Yの誘拐」は結局は未解決であり、どの推理が正しかったのか、
実のところわかりません。

普通に感想を述べると、手記を読んだ4人が気付いたおかしな点は
本来警察も当然気付いてしかるべきなのに、
京都府警はいくらなんでもマヌケすぎるという(笑
実際後藤が所属する第九係班長の大槻警部ならば、
看破していたでしょう。

推理としては峰原が辿り着いた推理が合理的なものではないか
と思うのですが、「Yが偽者」という発言がどうもわかりません。
それはエピローグでの推理でもそうで、う~ん・・・
とまあ僕が納得していないだけですが(苦笑

それとエピローグの推理はすこし唐突感が否めません。
前3編でそのあたりの伏線を散りばめておいた方が、
ぐっと「あっ!」と驚かせる推理になっただろうなと思います。

「密室蒐集家」の文庫化が楽しみです。


アルファベット・パズラーズ (創元推理文庫)

アルファベット・パズラーズ (創元推理文庫)

  • 作者: 大山 誠一郎
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2013/06/28
  • メディア: 文庫



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