So-net無料ブログ作成
周木律 ブログトップ

大聖堂の殺人 ~The Books~ [周木律]

まずはAmazonさんの紹介ページから。

解は示された。大人気シリーズ、ついに終幕!
天才数学者が館に隠した時と距離を超える最後の謎。

すべての事件を操る数学者・藤衛に招かれ、北海道の孤島に聳え立つ大聖堂を訪れた宮司百合子。
そこは、宮司家の両親が命を落とした場所だった。災禍再び、リーマン予想の解を巡り、
焼死や凍死など不可解な殺人が発生する。しかし、藤は遠く離れた襟裳岬で講演の最中だった。
大人気「堂」シリーズ、ここに証明終了!
以下、少しネタバレ。





「堂」シリーズ最終作。
ついに「藤天皇」こと藤衛と宮司百合子・善知鳥神が対峙します。
ところでこのシリーズのトリックは回転・動くが確実なので、
今回は一体何が回転するのか気になっていました。

今回は「動く」のですが、これはまたアクロバティックすぎます。
また、かつて起きた殺人をなぞるように起きる連続殺人のトリックもお見事。


しかし、最終作にしてはちょっとなあという読後感。
まず、自分は妖精という数学者は本当に必要だったのか、よくわかりません。
各章のタイトルも「闇」や「蝕」などは要らなかったのでは・・・

最大の不満は十和田只人の扱いです。
本シリーズの探偵役を途中まで務めたにも拘わらず、その立場の逆転には
非常に驚きました。
本書で彼が藤天皇に従属している旨が書かれますが、これまでのシリーズで
そういう描写ありましたっけ?(私が失念しているだけでしたらすいません。)

個人的には本書で再び探偵役に返り咲いて欲しかったのですが、
本シリーズが十和田只人の物語と見せかけて、実は宮司百合子の物語で
あることを踏まえれば、中々難しいとは思いましたが・・・

で、彼は本当に本書では何もしない。いや、最後に腕力を発揮したくらいで、
百合子の説得は全く効果なし。こんな姿は観たくなかったなあ・・・

またかつて大聖堂で起こった殺人事件の真相がちょっとなあ・・・
他国に居た人物がいかに殺人を行えたのかというのは、
確かにこの真相くらいでないと中々難しいのでしょう。

ただし、本シリーズは館シリーズを意識しているのは間違いないでしょうが、
最初、堂を作った沼四郎、そして放浪の数学者・十和田只人という探偵役。
この基本を完全に180度変えつつも、シリーズとして続けたのは、素晴らしいと思います。

周木律先生、お疲れ様でした。
これからも我々を楽しませてください。



大聖堂の殺人 ~The Books~ (講談社文庫)

大聖堂の殺人 ~The Books~ (講談社文庫)

  • 作者: 周木 律
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2019/02/15
  • メディア: 文庫



大聖堂の殺人 ~The Books~ (講談社文庫)

大聖堂の殺人 ~The Books~ (講談社文庫)

  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2019/02/15
  • メディア: Kindle版



nice!(5)  コメント(5) 
共通テーマ:

鏡面堂の殺人 ~Theory of Relativity~ [周木律]

まずはAmazonさんの紹介ページから。

異形の建築家が手掛けた初めての館、鏡面堂。すべての館の原型たる建物を訪れた百合子に、
ある手記が手渡される。そこには、かつてここで起きたふたつの惨劇が記されていた。
無明の闇に閉ざされた密室と消えた凶器。館に張り巡らされた罠とWHO、WHY、HOWの謎。
原点の殺人は最後の事件へ繋がっていく!

前々作で探偵役が自らその役を降り、そして前作でワトソン役(たち)が降板するという、
シリーズとしては異例の歩みを続ける<堂>シリーズ。
本作では、一連の事件の発端になった(と思われる)「鏡面堂」の事件が語られます。




やはり<堂>は回転するのです。これがこのシリーズの貫徹したものでしょうね。
また「手記」という体裁を取って語られることから、そこに何かの仕掛けがあるのは
なんとなく予想がつきます。

トリックそのものはさすがだし、容疑者外しの過程も面白い。
容疑者のそれぞれの特徴がうまく落とし込まれていて、上記書いた仕掛けは
決して読者にとってアンフェアである訳ではありません。

しかし、そもそもの事件を起こした動機がどうもなあ・・・という印象。
まあこれはシリーズ通してもそのようなものは見受けられましたけど。
「手記」を書いた人物にしても、想像がだいたいつくし、
やはり宮司司と百合子、そして十和田只人、善知鳥神が巻き込まれた事件の謎が
最後まで鍵となるようです。

次作であり最終作「大聖堂の殺人~The Book~」に期待しましょう。



鏡面堂の殺人 ~Theory of Relativity~ (講談社文庫)

鏡面堂の殺人 ~Theory of Relativity~ (講談社文庫)

  • 作者: 周木 律
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2018/12/14
  • メディア: 文庫



鏡面堂の殺人 ~Theory of Relativity~ (講談社文庫)

鏡面堂の殺人 ~Theory of Relativity~ (講談社文庫)

  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2018/12/14
  • メディア: Kindle版



nice!(5)  コメント(5) 
共通テーマ:

教会堂の殺人 ~Game Theory~ [周木律]

まずはAmazonさんの紹介ページから。

訪れた者を次々と死に誘う狂気の館、教会堂。
失踪した部下を追い、警察庁キャリアの司は館に足を踏み入れる。
そこで待ち受けていたのは、水死・焼死・窒息死などを引き起こす数多の死の罠!
司の足跡をたどり、妹の百合子もまた館に向かう。
死のゲームと、天才数学者が求める極限の問いに、唯一解はあるのか!?


以下、ややネタバレあり。



前作「伽藍堂」でシリーズとして大きな転換点を迎えた<堂>シリーズ。
本作でもその点では見事にやってくれました。
そして、百合子の出生がついに明らかになります。

さらに宮司司やこれまでの事件関係者にまでその累が及ぶことに。
筆者のあとがきはこのあたりの苦悩でしょうか?

今回も数式が盛りだくさんのなのですが、ゲーム理論が全面に登場するなど、
文系の自分でも館のトリックはなんとか理解できました。
おそらく一番恐ろしい「囚人のジレンマ」でしょう。

それにしても教会堂に突然関孝和の名前が登場したのが驚きました。
ついに江戸時代まで遡ったか、と。関の遺した算額、何が記されていたのでしょうか。

ところで<堂>シリーズはあと2作で完結するのですが、
(来月に「鏡面堂の殺人}が書き下ろし刊行)
度々名前が登場する「藤天皇」こと「藤衛」や「The Book」など数々の謎を
残したまま。
司を失った百合子ははたしてどうなるのか。
鏡面堂の殺人も楽しみです。


教会堂の殺人 ~Game Theory~ (講談社文庫)

教会堂の殺人 ~Game Theory~ (講談社文庫)

  • 作者: 周木 律
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2018/09/14
  • メディア: 文庫



教会堂の殺人 ~Game Theory~ (講談社文庫)

教会堂の殺人 ~Game Theory~ (講談社文庫)

  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2018/09/14
  • メディア: Kindle版



nice!(4)  コメント(4) 
共通テーマ:

伽藍堂の殺人~Banach-Tarski Paradox~ [周木律]

まずはAmazonさんの紹介ページから。

謎の宗教団体・BT教団の施設だった二つの館の建つ伽藍島。リーマン予想解決に関わる講演会のため訪れた、放浪の数学者・十和田只人と天才・善知鳥神、宮司兄妹。その夜、ともに招かれた数学者二人が不可能と思われる“瞬間移動”殺人の犠牲となる。秘められた不穏な物語がさらに動く“堂”シリーズ第四弾。

本シリーズは森博嗣氏の<真賀田四季>的な立場である善知鳥神と探偵役である十和田只人、
さらには宮司兄妹の物語なんだろうと思ってきました。

しかし、シリーズ最初から登場する数学界の天皇・藤衛<藤天皇>が本書では大きく
クローズアップされ、本シリーズの見方がかなり変わりました。
それは本書の結末を読めば否応なくわかります。

トリックそのものは、本シリーズを読んでいれば多少は予想できるものの、
相変わらずアクロバティックです。
もはやこのシリーズで島が廻ることなど、驚きもしません(笑

本書でのラストを読んで、次作がますます楽しみになりました。


伽藍堂の殺人 ~Banach-Tarski Paradox~ (講談社文庫)

伽藍堂の殺人 ~Banach-Tarski Paradox~ (講談社文庫)

  • 作者: 周木 律
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2017/09/13
  • メディア: 文庫






nice!(3)  コメント(3) 
共通テーマ:

五覚堂の殺人~Burning Ship~ [周木律]

まずはAmazonさんの紹介ページから。

放浪の数学者、十和田只人は美しき天才、善知鳥神に導かれ第三の館へ。
そこで見せられたものは起きたばかりの事件の映像―それは五覚堂に閉じ込められた哲学者、志田幾郎の一族と警察庁キャリア、宮司司の妹、百合子を襲う連続密室殺人だった。
「既に起きた」事件に十和田はどう挑むのか。館&理系ミステリ第三弾!

すでに起きてしまった事件かつ今も続いているのか?それとももう
事件は終わってしまったのか?それが分からないままの状態というのは
中々おもしろいシチュエーションでした。

善知鳥神から出されたヒントはただ一つ、「回転」
相変わらずトリックは見事です。
なので、前書と同じく、後半の動機部分は不要な感じもしました。

シリーズとしてどう進むのか、まだ見えてこない。
早く次々と文庫化を!


五覚堂の殺人 ~Burning Ship~ (講談社文庫)

五覚堂の殺人 ~Burning Ship~ (講談社文庫)

  • 作者: 周木 律
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2017/03/15
  • メディア: 文庫



五覚堂の殺人 ~Burning Ship~ 数学者十和田只人 (講談社文庫)

五覚堂の殺人 ~Burning Ship~ 数学者十和田只人 (講談社文庫)

  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2017/03/15
  • メディア: Kindle版



nice!(4)  コメント(4)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

双孔堂の殺人 ~Double Torus~ [周木律]

Amazonさんの紹介ページから。

二重鍵状の館、“Double Torus”。警察庁キャリア、宮司司は放浪の数学者、十和田只人に会うため、
そこへ向かう。だが彼を待っていたのは二つの密室殺人と容疑者となった十和田の姿だった。
建築物の謎、数学者たちの秘された物語。シリーズとして再構築された世界にミステリの面白さ
が溢れる。“堂”シリーズ第2弾。

今後のシリーズキャラクターとなる宮司兄妹が初登場となる本作。
放浪の数学者である十和田は他に合理的に考えられないとし、
犯人として逮捕されるという、とんでもない場面から物語がスタートします。

例のシリーズキャラクターはおそらくすぐにわかるはず。
明らかに怪しいので(笑

本作も構造物を実に上手く使ったトリックが用いられています。
それと、ダブル・トーラスという対称性を十和田自身が
一貫して全ての出来事に当てはめていくのが面白い。
宮司のように唖然とするのが普通でしょうが、そこが十和田自身の魅力でもあります。

ところで、本作の第Ⅴ章では謎解きが行われますが、
個人的にはその後の動機解明と犯人独白は蛇足に感じました。
通常のミステリであれば当然あってしかるべきなのですが、
このシリーズは十和田自身も重視していないですが、
動機云々よりも、この<堂>でいかにして事件が起きたのか、が
最大の関心事で、それが解ければ終了なのではないかと。

あと宮司の妹がいまいちよくわからないキャラなので、
次作にその辺も明らかになるのか期待したいところです。


双孔堂の殺人 ~Double Torus~ (講談社文庫)

双孔堂の殺人 ~Double Torus~ (講談社文庫)

  • 作者: 周木 律
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2016/12/15
  • メディア: 文庫



双孔堂の殺人 ~Double Torus~ 数学者十和田只人 (講談社文庫)

双孔堂の殺人 ~Double Torus~ 数学者十和田只人 (講談社文庫)

  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2016/12/15
  • メディア: Kindle版



nice!(4)  コメント(4)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

眼球堂の殺人~The Book~ [周木律]

Amazonさんの紹介ページから。

神の書、“The Book”を探し求める者、放浪の数学者・十和田只人が記者・陸奥藍子と訪れたのは、
狂気の天才建築学者・驫木煬の巨大にして奇怪な邸宅“眼球堂”だった。
二人と共に招かれた各界の天才たちを次々と事件と謎が見舞う。
密室、館。メフィスト賞受賞作にして「堂」シリーズ第一作となった傑作本格ミステリ!

再び新しいシリーズを読み始めてみました。
元々気になっていたのですが、中々文庫化しないなあと。
ここにきて、3冊一気に文庫化しましたので、まとめ買い(笑

本書帯には第1回メフィスト賞受賞作『すべてがFになる」の森博嗣さんが
コメントを寄せています。
「懐かしく思い出した。本格ミステリィの潔さを。」

今年2017年が綾辻行人さんの『十角館の殺人』刊行から30年という節目。
つまりは新本格30周年記念となります。
その前年とはいえ、本シリーズが文庫化したのは極めて大きい意義がありますね。

というのは、本書には「館」シリーズと、「S&M」シリーズの2つの
特徴を備えている、まさに新・新本格とでも言うべき作品。

登場するいくつもの「堂」は沼四郎という人物が建てた奇妙な建築物。
これぞまさに「館」シリーズの中村青司。
そして、探偵役を務める十和田只人の元に常に現れる善知鳥神という、天才数学者の存在。
「S&M」シリーズ(森博嗣作品全般ともいえる)の真賀田四季を彷彿とさせます。
理系ミステリというのも森さんを連想させます。

さて本書はなんといってもこの眼球堂に仕掛けられたトリックが秀逸。
名は体を表すとはよく言ったもので、なぜこの堂が眼球と名付けられたのか、
それが全てです。

また本書は「迷路館の殺人」と同様、作中作の形を取っています。
これも筆者が仕掛けた大きなトリック。
とはいえ、これは本格を読み慣れた読者なら見抜けるでしょう。

本シリーズは大きく変貌を遂げているようで、
早速に次作も読了。しかしどうも次々作で変貌?なのかわかりませんが。
これから読むのが楽しみな作品です。


眼球堂の殺人 ~The Book~ (講談社文庫)

眼球堂の殺人 ~The Book~ (講談社文庫)

  • 作者: 周木 律
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2016/09/15
  • メディア: 文庫



眼球堂の殺人 ~The Book~ 堂シリーズ (講談社文庫)

眼球堂の殺人 ~The Book~ 堂シリーズ (講談社文庫)

  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2016/09/15
  • メディア: Kindle版



nice!(4)  コメント(4)  トラックバック(0) 
共通テーマ:
周木律 ブログトップ